立ち向かってきたこと

先輩社員インタビュー

あのときを超えられるか?<br>それが技術者としての基準。
  • Interview

あのときを超えられるか?
それが技術者としての基準。

輸送機事業部技術部

to face 立ち向かっていること
  • クライアントの期待を超える仕事をする
  • 周りを鼓舞できる技術者となること

5年目の出来事

小学校の頃、広島の自動車工場を見学した。大きな鉄の骨がコンベアで運ばれてくる。その姿に感動した。就活でNKCを調べた時、あの工場を思い出した。電気設計の仕事がしたいと考えていた。それも高水準言語ではなく、いわゆるPLCでできるラダー設計がいい。決めた。就活は終わり。ここに受からなかったら大学院に行こう。どこに行こうがそこで自分なりに頑張ればいいだけ。そのポリシーは今も変わらない。ただ、「自分なり」の基準は変わった。入社5年目に担当した、ある車体製造会社の仕事。既存コンベアの老朽化に伴い、一部を残して大部分を新しいコンベアに改築することになった。既存コンベアは他社製のため、図面がない。そこで、自分が現地に滞在して調べることになった。工事はラインが止まる夏休みの10日間で完了しなければならない。逆算すると少なくとも7月中旬には調査を終えておく必要がある。1ヶ月しか時間がない。背筋が伸びた。

10日間でフル稼働まで持っていく。

調査結果を刻々と本社に送り、受け取った他のメンバーがプログラムと図面をつくる。自社の滋賀工場でテストを繰り返し、工事直前に設計図面が完成した。いよいよコンベアの設置工事が始まる。チーム長を筆頭に数十名のメンバーが揃った。電気設計のメンバーは6人。自分は他の設備とのインターロックと、「電車」と呼ばれる自走式コンベアを担当する。事前にクライアントからは「10日間で一旦稼働できる状態にし、その後数日かけてフル稼働まで持って行ってくれればいい」と言われていた。ところが直前ミーティングでチーム長がメンバーに語りかけた。「10日間でフル稼働まで持っていこう。お客さんが望むところを越える。それが俺たちの仕事だ」。いつもは冗談ばかり言っている人が見せる真剣な表情。チームが一丸となった。長丁場の10日間が始まった。「しっかり休めよ。休むのも仕事やぞ」。そう声をかけるチーム長はいつ休んでいるのだろうか。彼の頼もしい背中がメンバーを支えた。

プロジェクト最終日、始動のベルが鳴る。

電気屋にとって一番の屈辱は「持ち場を代われ」と言われること。目の前の制御盤に繋がっているのは自分のパソコン1台のみ。そこに年次は関係ない。悔しくなければ技術者ではない。それでもトラブルは起こる。「誰かあいつのとこ、助けたってくれんか?」「あ、オレ行きますよ」。仲間の力になりたい。でも、相手の悔しさもわかるから、言葉は少ない。刻一刻と時間が過ぎる。残り時間が少なくなる中で、想定外のトラブルが起こった。現場の空気がピンと張り詰める。その時もチーム長がすごかった。後回しにしてもいいところは後に、今やるべきことを先に。瞬時に判断して指示を出す。現場での一発勝負をやってのける技術者たちの腕前と肝の座り方。こんなに頼もしい人たちと仕事をしている。そのことが誇らしかった。最終日の早朝、起動警報ブザーがなって、ラインが動き出した。緊張感が高まる。ラインが一周回った。大丈夫だ。漏れる安堵の息。本当にフル稼働までこぎつけた。この経験が自分の礎になった。あのときを超えられるか?それが今の「自分なり」の基準になっている。

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